New Mutants v2(#07to13)
 -The Tie That Bind-

概要

New X-MENのキャラクターが登場するきっかけとなった新世代のミュータント少年少女の物語.シリーズ自体は13回と短いが,その終了直後にNew X-MENシリーズの刊行が告知され,登場人物はそのまま引き継がれることとなった.

物語は,学園に新世代のミュータント少年少女がスカウトされてくる前半パート(便宜上Back to School篇と呼称)と,彼らの交流が描かれる後半パート(The Tie That Bind篇)に大別することができる.

各話紹介

#07:Dear Mom and Dad

学園での新たな生活が始まったが,Joshはその来歴ゆえにSofiaたちとはすぐに馴染むことはできていなかった.彼は現在の状況を両親に知らせるための手紙を書く.しかし,そこに綴られていたのは,現実とは少し違う仲間のいる華やかな生活.そんなJoshを心配したDaniは,ルームメイトでもあるDavidにせめて話くらいはするようにアドバイスする.会話が生まれればやがて・・・と考えてのことであった.

アドバイスに乗り気ではないDavidだったが,同室にいることもありJoshと会話することにする.その話題として選ばれたのは,昏睡中のMagmaの話題であった.Davidの話を聞き,Magmaを昏睡から回復させようと思い立ったJoshは,Julianとともに病院に潜入する.Magmaが目覚めないのは,外傷などではなく何らかの別の原因があるはずと理解しながらも,JoshはMagmaの意識を回復させる.

そして彼女が目覚めた次の瞬間,暴走してコントロールを失っていたMagmaの力が暴発し,病院で大爆発が起こる.そして,なおも力に支配されたままのMagmaは瓦礫の中から失踪してしまうのだった.Magmaを暴走させる発端となったJoshとJulianは外出禁止と補講の処分を言い渡される.そして,親友を傷つけたことへのDaniの怒りもあり,Joshは落ち込んだ生活を送ることとなった.

そんな中,手紙を受け取ったJoshの両親が学園を訪れる.彼らの訪問理由が知りたいJoshはSofiaの力を借りてXavierと両親の会話を盗み聞きする.会話の内容から,彼らが自分を取り戻す決断をしたことをJoshは知り,喜んで両親の前へと駆けつける.しかし,彼らの決断はより残酷な現実を彼に突きつける.手紙を読んでXavier Instituteならば息子を預けられると判断した彼らは,息子と離れて暮らす決断をしていたのである.

コメント

ロクな目にあわないJosh君です.今回は全体を通して道化ですね.Magmaのエピソードに関しては関連各誌をチェックすればわかるようです.私は調査できていないのでコメントは控えます.冒頭のJoshとDavidの無言の風景は彼らの関係性を上手く描いていて面白いですね.カフェのアルバイトLunaもこの回で初登場.New X-MENシリーズ初期まで,時々登場するアメコミには珍しいタイプの美少女キャラ(?)ですね.

#08:Parent Week

Magmaの事件以来,JoshはJulianたちと過ごす時間が多くなっていた.学園の敷地内でフリスビーに興じていた彼らは,門の前に現れたみすぼらしい格好をした少女を追いかえす.一方,学園では父兄参観日が催されようとしていた.

父兄参観日の当日,Davidの元には家族が,Laurieの元には母親が,そしてSofiaの元にはDerekが現れる.他の生徒たちのもとにも家族が訪れるが,割り合いだけで考えればその数は多いとは言えないのだった.そんな中でSofiaは些細なことからDerekを信頼できなくなり力を暴走指せてしまう.そしてDavidは家族から,Xavier Instituteからは希望するHarvard大に進学できないことを聞かされ,学園で学ぶか別の道を選ぶかの選択を迫られる.

同じ頃,JulianはNorthstarの元を訪れ,アドバイザを彼からEmma Frostに変更することを告げていた.Northstarは彼の"間違い"を指摘しながらもそれを受け入れる.そんな中,JulianはEmmaの口からJoshの過去を聞いてしまう.JoshがReaverに所属していたことを知ったJulianは,態度を豹変させて彼に厳しく当たる.彼らの喧嘩はやがて,Joshの助けに入ったSofiaチームと,Julianチームとの喧嘩に発展してゆく.

喧嘩は最終的にShanによって仲裁され,深刻な事態だけは何とか回避された.Joshは仲間になれそうだったJulianたちと,自分の過去を知りながらも自分に味方してくれたSofiaたちを比べ,感謝の気持ちを口にする.SofiaはDerekとの仲直りを,Davidは学園への残留を決め,彼らはまた新しい一歩を踏み出すのだった.一方,Lunaのカフェ裏路地で事件が起こる.Lunaに電撃を浴びせ,気絶させたのはいったい・・・?

コメント

姉さん事件ですって感じのクリフハンガー.Lunaに同じ趣味(?)のShanを紹介してみたりと細かなところでも芸が細かいですね.それにしても初登場時の"彼女"のボロボロな格好はちょっと可哀相ですね.そしてJoshは今回も悲惨な役回り.これも読者に受け入れられるための洗礼と考えなければいけませんかね.

#09:(副題なし)

New Yorkに出現した凶悪なミュータントAvalanche.破壊活動を行う彼を一撃の下に倒したのは,バイクに乗った謎のフルフェイスの女戦士.そんな彼女に,遅れて現場に急行したHavokは「久しぶりだな・・・」と声をかける.一方,学園ではJoshに好意を寄せるLaurieの協力もあり,Sofiaたちの関係が少しずつ修繕しつつあった.

そんな中,行方がわからなくなっていたNew Mutantsの旧メンバーが学園に帰還したとのニュースが伝わる.食堂にあらわれたライダージャケットを羽織り,オレンジの髪の毛をなびかせた少女.それは先立ってAvalancheを撃退した女戦士.彼女の正体こそがかつてのNew MutantsのメンバーRahne Sinclairであった.

放課後,Joshを伴っていきつけのカフェを訪れたSofiaたちは,Lunaが感電事故にあって怪我をしたことを知る.Joshはカフェの近くで出会った少女,以前に学園の門に現れ,Julianが追い返した少女こそが事件の鍵を握っていることに気づく.彼女の口ぶりから,それが不慮の事故であったことを感じ取ったJoshはDaniとShanに事件のことを相談する.DaniはSofiaたちに事件に首を突っ込まないよう言い聞かせると調査に向かうのだった.

事件に関与できないことを歯がゆく思うJosh.そんな彼の元にRahneが現れる.彼女は独自調査を開始することを告げ,Sofiaたちによる謎の少女の捜索が始まった.聞き込みの結果,彼女はSurgeと呼ばれていて,日本人であることを知る.ドラッグを手に入れるために現れたSurgeを確保しようとするSofiaたち.しかし,彼女の能力は薬がなければコントロールできないものだった.薬を失って暴走した電撃の嵐がSofiaたちを襲う・・・

コメント

Rahneの登場で動揺するLaurie.登場シーンから後半の展開まで,New Mutantsの中でも人気キャラなRahneはよい見せ場がたくさん貰えていますね.Avalancheが噛ませ犬なのは,まぁいつものことなのでよいでしょう.それにしても,この時期のJulianは幼稚なキャラですね.彼は今後いろいろと成長していくので見捨てないでやってください.Surgeの英語は訛りが酷いので,区切りがない表現になっている("Ididnotmeantodoit"など)のが面白いです.

#10:A Few Small Repairs

Emmaとのミーティングで自身のコードネームを決めるJulianたち.生徒の自主性を尊重する彼女のやり方に,Julianたちはチームとしてまとまりつつあった.一方,Surgeを保護しようとするSofiaたちは,際限なく放出される電撃に苦戦しながらも,Laurieのフェロモン操作を用いてSurgeを沈静化させることに成功する.彼女は本名をNoriko Ashidaと名乗るのだった.

Norikoを保護したSofiaたちは学園へ帰還する.Hank McCoyの助力もあり,Norikoはなんとか安定した状態を保っていた.しかし,無断でNorikoを捜索した件に関してSofiaたちとRahneはDaniの叱責を受ける.一方,Rahneは獣人化する能力を失ったこともあり,学園に長く滞在するつもりはないようであった.彼女はScott Summersに別れを告げると,再びバイクで何処かに出かけてしまう.

そんな彼女の前に現れたのはJosh.彼は独りで去ってゆくRahneのあとを追って小さなバーにたどり着いたのだった.ビリヤードに興じる2人だったが,JoshはRahneとの会話の中で,彼女の中における獣性の意味について気づく.敬謙なクリスチャンであった彼女が,今のラフなスタイルに至ったのは,それまで獣性として押さえつけられていた機能が失われたために,それが性格に反映するようになったのではないか・・・と.

JoshとRahneは急速に接近しつつあった.彼女はJoshの言った言葉の内容を認め,力を取り戻したいと口にする.口づけを交わす2人.JoshはRahneを抱きしめながら,回復能力を用いて,彼女の失われた力を復活させる.次の瞬間,急激に開放されたRahneの獣性はJoshの暴走し,Joshの身体を酷く切り裂いてしまうのだった.

コメント

ここしばらくはJoshが中心の展開になっています.ルックス的にも初回登場時の変なヒゲから開放されて,正統派のサラサラ美少年ですね.Norikoもトレードマークのガントレットを装着しますが,髪の色はまだ黒いまま.

#11:Shy Girls

語られるRahneとLaurieの過去.とものShyな女性であった2人は,ミュータント能力という過酷な運命に囚われ,苦難の人生を送ってきたのだった.彼女たちは望んだわけでもなく能力を手に入れ,それがコントロールできないことで苦しんできたのだ.

敬謙なクリスチャンであったRahneは,幼少の彼女を育てた神父の,一夜の過ちによって生まれた少女だった.やがて,能力が発言して故郷を負われた彼女はNew Mutantsに所属することとなる.一時は敵の手によって常に半獣人の姿にされた彼女だったが,苦労の末に人間の姿を取り戻す.その後別の敵によって能力を奪われたRahneは普通の人間に戻ることになる.しかし,その代償は彼女の育ての親Moiraの死という大きな代償を伴うものであった.

Laurieは彼女と同じフェロモン操作能力を持つ父親が,その能力で母親を操作した結果として誕生した.母親のその過去から,彼女は自身の能力を忌み嫌い,他社との間に壁を作るようになっていた.能力のために普通の学校を追われ,Xavier Intituteに編入した彼女だったが,そこでも友人はできず,彼女はSofiaがやってくるまでの長い時間を孤独に過ごしていた.

そんな2人の"現在"を変えたのはJoshだった.JoshはLaurieの命を救い,彼女に恋をさせた.そしてRahneもまた彼に出会い,失われていた彼女の能力を取り戻すこととなった.結果,JoshはRahneの手によって致命傷を負う.そしてLaurieは目の前でそれを発見してしまったのである.

コメント

2人の少女のオリジンの対比がひじょうに面白いです.ミュータント能力は,キャラクターによっては便利なもののように見える場合もありますが,それは基本的にコントロールできればという前提を伴うものですね.Rahneの半生なんかはもう,設定変更という抗えない波に流されまくっているので,ほんと悲惨です.

#12:One of Us

病院へと搬送されるJosh.しかし,彼の負った傷は深く,ひじょうに危険な状態にあった.事件を目撃していたLaurieは,Rahneが事件に関わっており,狼の姿に戻っていたことを告げる.

Rahneが能力を取り戻したことで復活した,彼女とDaniとの間の精神のリンクを基に,Daniは獣人の姿のままで彷徨っていたRahneを発見する.口論の末に,なんとか彼女を落ち着かせることに成功したDaniは,彼女と共に"戻るべき家"へと帰るのだった.

同じ頃,意識を取り戻さず,死に向かいつつあるJoshに対して,Davidはある解決策を試そうとしていた.BeastやAnnieの持つ医学的知識を吸収した結果,彼が至った結論Norikoの電撃の力によってJoshの意識を目覚めさせ,彼自身の回復能力を働かせることであった.Beastの反対を押し切ってプランを実行に移すDavidとNoriko.電撃がJoshの身体に叩き込まれる・・・

Joshは無事に意識を取り戻し,死の危険な崖っぷちから舞い戻った.しかし,回復能力を自身の身体に強く影響させた結果,彼の皮膚は黄金色に輝くようになってしまったのだった.後日,NorikoはLunaの店で働きながら学園に通うこととなる.こうして,Sofiaたちは新たな結束と共に,次のステップへと向かうのである.

コメント

シリーズを通して,物語的にはSofiaの出番がまったくないのにお気づきでしょうか?彼女だけ美味しい場面が少なかったためか,今回はいろいろと語るシーンも用意されています.そして,今では普通の風景になった金ピカなJoshは,自分の能力を使った結果だったりします.BeastとDaniはいろいろ言ってたけど・・・なんかあまり納得できない説明ですね.

#13:The More Things Change...

レギュラーチームの物語ではなく,旧New Mutantsのメンバーが中心の話.

Magnetoによって破壊された学園の前に集まる旧New Mutantsのメンバーたち.生徒たちの誘導に専念したため,戦闘に参加することのできなかったDaniたち教師は,瓦礫の前で無力さを痛感しているのだった.

同じ頃,刑務所に収監されていたDonald Pierceは,甥のFBI捜査官Justin Pierceの手によって移管されようとしていた.しかし,Donald Pierceは護送車から脱走し,彼をこんな目に合わせたミュータントの子供たちへの復習へと走り出す.危険がSofiaたちに迫っていた.

Justinからの連絡で危機を知ったDani.JustinのDonald Pierceとの関係性から彼を100%は信じられない彼女ではあったが,Daniは生徒を護るために立ち上がる.彼らが最終的に選択した作戦とは,生徒たちの居場所をwざとDonald Pierceにわかるようにし,彼らをおびき出すものだった.かくして,生徒を護るNew MutantsとDonald Pierce率いるReaverの戦闘が始まろうとしていた.

戦闘が開始されると,New Mutantsは圧倒的な戦闘力でPierceとReaverたちを殲滅した.そして,彼らはチームワークに優れたSofiaたちの姿を眺め,次世代の期待を感じる.SumからX-MENへの参加を誘われたDaniだったが,彼女は「誰かが彼らを導かなくてはならない」と口にするのだった.

コメント

囮作戦はDaniらしくない感じがしますが,New Mutantsの久々の活躍なのでよしとしましょう.JustinはPierceの甥であることに何も意味がなかった気もしますが,今後も登場するキャラクタなので,いなくても困るんですよね.どこまで考えて登場させたんだろう・・・.さて,次号からはついにNew X-MEN Academy Xに改題されての再スタートになります!ただ,ちょっと気になるのはその紹介文."Adventures of Josh and his frend in"・・・って,いつからJoshが主人公に!!もうね,Sofiaなんて出番もないしどうでもいいんですかねえ?アメコミのこういうところが恐ろしいです.