New Mutants v2(#01to06)
 -Back to School-

概要

New X-MENのキャラクターが登場するきっかけとなった新世代のミュータント少年少女の物語.シリーズ自体は13回と短いが,その終了直後にNew X-MENシリーズの刊行が告知され,登場人物はそのまま引き継がれることとなった.

物語は,学園に新世代のミュータント少年少女がスカウトされてくる前半パート(便宜上Back to School篇と呼称)と,彼らの交流が描かれる後半パート(The Tie That Bind篇)に大別することができる.

各話紹介

#01:The Wind Knows My Name

Sofia Mantega(a.k.a Wind Dancer)の初登場となる回.

Sofia Mantegaは風を操作する力を持ったミュータントの少女.ベネズエラで暮らしていた彼女の母親が,ミュータント差別主義者の暴動に巻き込まれ命を落とす.Sofiaはそれを自身の能力(風を伝わる音を自分の下に集めることができる)で知る.

住むべき場所を失った彼女は,コロラド州デンバーでスーパーマーケットを経営する父の元に送られることとなる.しかし,彼女の父親はSofiaには娘としての興味を持たず,ミュータントのマイナスイメージから普通の少女として振舞うことを強要した.そんな彼女を気遣い,彼女が唯一心を許せる人間はMantega家の老執事,Derekだけであった.

学校にもなじめずに孤独な毎日を過ごすSofia.彼女の誕生日さえ相手にしない友人や父親に傷ついた彼女は,怒りと父親の気を惹きたい思いから,スーパーマーケットの中で竜巻を発生させてしまう.

父親から完全に見放されそうになるSofia.そんな彼女を救いに現れたのは,故郷であるコロラド州に戻っていたDanielle Moonstarであった.Sofiaの事件をNewsで知ったDaniは,Sofiaをミュータントが安全に暮らせる場所,Xavier Institute for Higher Learningへと誘う.

コメント

ということで,少々悲惨なSofiaの初登場です.家族を完全に失った彼女がDaniと共に学園へ行くだけの話なので,余った部分はすべて彼女の孤独なOrigin.ちなみに,副題の元ネタともいえる風を伝って情報を得る能力は最近ではあまり使われていません.彼女の基本的にポジティブで情熱的だけど,窮地に陥ると何をしでかすかわからないという性格はこの段階から形成されているのがわかります.

#02:(副題なし)

Laurie Collins(a.k.a WallFlower),Julian Keller(a.k.a Hellion)初登場の回.

Xavier Instituteへと連れられてきたSofia.Xavier教授との対面を果たした彼女は,まずは学園を見学することとなる.彼女の案内役となったのは,テレキネシス能力を持つミュータントJulian.彼に案内されて授業を見学していたSofiaは独りで離れた場所で過ごす少女Laurieに気づく.

Laurieは自身のフェロモンを強化して,相手に感情を伝染させる能力を持つミュータント少女.誤って学園内で能力を暴走させてしまったことから,学園で過ごすこととなっていた.しかし,能力を上手にコントロールできない彼女は,友人を無意識に操作し,それを知った有人から拒絶されることを恐れるあまり,誰とも接触することができずにいたのだった.

同世代で,同じミュータントとしての悩みを持つルームメイトとの生活が,Laurieを変える最良の方法と考えるXavier.しかし,Laurieの能力の特異性から,ルームメイトとの生活は長続きしていない.そんな問題の解決策として,Daniは風を操作してフェロモンの影響を回避できるSofiaとLaurieとの共同生活を提案する.

そして,子供と接する能力をかわれたDaniは,Xavierの要請で,保護されていないミュータント少年少女を学園にスカウトするために働くこととなる.

コメント

#01から続く展開で,学園の紹介が中心となる内容です.ここまで読めばNew Mutants v2の基本プロットが理解してもらえると思います.Laurieの能力はちょっと特殊ですが面白い能力です.非力な少年少女が,強力な敵と戦うためのサポート能力としては一級品.でも,バトル路線にシフトした後期のNew X-MENでは有益でなくなってしまうのが残念なところ.詳しくは後半をご覧ください.それにしても,こんなに善良なハゲ教授は稀に見る感じですよね.

#03:(副題なし)

Kevin Ford(a.k.a Wither)初登場の回.

Cerebraが探知したミュータント少年を探すためアトランタへと旅立とうとするDani.かつてのNew Mutantsの写真を感慨深く眺める彼女は,「この中から,すでに2人が失われているなんて・・・」と寂しそうにつぶやく.そんな彼女にXavierは,かつての仲間Allison Crestmere(a.k.a Magma)が意識が戻らないまま病院で眠っていることを告げることはできないのだった.

アトランタでKevin Ford少年の自宅を訪れたDani.しかし,そこには人の気配はなく,謎の塵の山だけが残されていた.Kevinの学校を調査した彼女は,彼が金属を使ったインダストリアートの天才であり,数日間学校に来ていないことを知る.

一方,Kevinはボロボロの身なりをして,スクラップ工場に身を隠れて生活をしていた.彼の能力は有機物を分解して壊死させてしまうこと.しかし,その能力はコントロールすることができず,彼が触れたものはすべて塵になってしまうのだった.

暴漢に襲われるKevinを助けたDaniに,Kevinは自身の能力が発現したことで父親を誤って塵の山にしてしまった罪を告白する.そんなKevinにDaniは,事故は彼のせいではないと諭し,能力をコントロールするためにXavier Instituteへ来ることを勧めるのだった.そして学園に帰還したDaniは,Allisonが昏睡状態にあることをXavierから告げられる.

コメント

物語に一番深みを与えているのがKevinの存在なはずなのですが,ちょっとテーマが重すぎたのか,それともキャラクタの扱いに困ったのか,数話後に彼は学園を去ってしまいます.New X-MENに改変後には帰還してくるのでお楽しみに.メンバーの中でも陰鬱な展開が待ち受けていそうなのがやっぱKevinでしょうね.それにしても,初登場時の腐女子狙い的な格好と,子犬のような目はどこに行ったのやら.

#04:Freaks & Geeks

David Alleyne(a.k.a Prodigy)初登場の回.

シカゴで検知されたミュータント反応の調査に向かったDaniは,旧友Xi'an "Shan" Coy Manh(a.k.a Karma)の元を訪問する.再会に喜ぶDaniとShanだが,昏睡中のMagmaの話題を告げなくてはならないDaniの心は複雑であった.

図書館で司書として働くShanの職場を訪れたDaniは,カレッジで学ぶほど優れた知能を持つ少年,Davidに出会い彼の後をつけることにする.彼が周囲の人間の知識やスキルを吸収する能力を持ったミュータントであると知ったDaniはDavidとの対話を望むが,自身のミュータント能力は"Freaks"の能力ではないと考えるDavidは話を聞こうとしない.

しかし,Davidの身にも危険は迫っていた.彼がミュータントであることを突き止めたミュータント差別集団によって,Davidとその家族は迫害を受けようとしていたのだ.DaniとShanの助けを得て何とか彼らを撃退したDavidの心には,ある決心が固まりつつあった.

家族に,秘密にしていた自身の能力について語るDaivd.Davidの家族は動揺しながらもDavidと,彼の真実を受け入れる.DaniはDavidにXavier Instituteでの訓練を勧め,彼やShanと共にシカゴを去るのだった.

コメント

家庭的な環境には恵まれているDavid.今後の展開においても,彼は自発的に自分の進むべき道を見つけていくので,安心して応援できるキャラクターです.Shanとの関係性があまりクリアに見えないのはWriterさんの失敗かと思いますが,おそらく妙な関係性を持たせると複雑な展開になり過ぎそう(Shanの人となりを知っていればわかりますよね?)ですね.

#05:Not One of Us

Josh Foley(a.k.a Elixer)初登場の回.

New Yorkの地下で,ミュータント差別主義を掲げるサイボーグ,Donald Pierceの組織Reaverが暗躍を始めようとしている.彼らは仲間を募り,ミュータントの家族を拉致する計画を進めているのだった.その中にミュータント差別主義者の少年,Josh Foleyの姿があった.しかし,Joshはミュータントを迫害する自身もまた,ミュータントであることにまだ気づいていないのだった.

一方,学園ではSofia,Laurie,Kevin,Davidの4人が顔をあわせ,授業とトレーニングの学園生活を送っていた.そんな彼らの元に,Sofiaの親友である老執事Derekから,Sofiaの父とNew Yorkへ向かうので会いたいという手紙が届く.SofiaはDerekに友人を紹介しようと考える.

しかし,Sofiaの父こそが,まさにReaverの標的となっていたのだ.Reaverによって拉致されるDerekとSofiaの父.待ち合わせ場所にDerekが現れないことを不審に思ったSofiaたちは調査を開始するが,Reaverとの戦闘に突入してしまう.

なんとか敵の第一陣を撃退したSofiaたち.倒された敵の中にはJoshの姿があった.傷ついた仲間の傷を,自身の回復能力で治療したJoshは,一転して追われる立場となってしまう.そして,Laurieの身にも危険が迫る.攻撃を防ぐためにフェロモンを暴走させた彼女はKevinにまで影響を与え,KevinはLaurieから逃げるために最後の手段に出ようとする.そして,その場にPierceまでが現れ・・・

コメント

Joshの顔がまったく違う!というツッコミはこの際なしです.Joshがいつ能力を自覚したのかわからないのも触れないほうがよいのでしょう.ということで,今ではタイトルを跨いで活躍することもあるJoshの登場は,こんなだったわけですね.KevinはLaurieに好意を抱いているのですが,まったく逆の展開になってしまい可哀相に.

#06:(Just Like)Starting Over

Derekと父親を追って戦闘を開始するSofiaとDavid.多勢に無勢だったSofiaたちだが,Sofiaを想うDerekの気持ちと,助けに現れたShanのサポートでなんとかReaverを撃退する.一方,Pierceに襲われたLaurieは致命傷を受けて倒れる.それに怒ったKevinは,能力を使ってPierceの身体を覆う組織をすべて壊死させようとする.

Laurieの傷は良心に目覚めたJoshの能力によって癒されたが,Kevinの暴走止められる者は誰もいなかった.父親の事故よりも重い罪を犯そうとするKevinに,Daniは悩んだ末に幻覚能力を使って彼の一番恐れるモノを見せる.それは,自身の手で崩壊するLaurieの変わり果てた姿だった.

事件は解決し,Sofiaは彼女の父親とは決別したDerekと,再会の約束をして別れる.一方,Xavier Instituteへの誘いを断って帰還したJosh.しかし,彼を待っていたのはかつての仲間による暴力であった.行き場を失ったJoshは彼が嫌悪するミュータントの学園へと助けを求める.そして,傷心のKevinは自己嫌悪に苛まされた結果,学園を去る決意をする.ミュータントン能力故に去る者,来る者の入れ替わりは,皮肉な対比を生み出していた.責任を感じたDaniは自らも学園を去ろうとする.

学園では新たな生活と秩序が始まろうとしていた.Xavierは学生に自身のアドバイザを選ばせることで,より円滑な教育が行えることを期待したのだ.その選択の中で,SofiaたちはDaniをアドバイザに選ぶ.学園を去る準備はできていたDaniだったが,彼らの熱意に動かされた結果,彼女は学園への残留を選択する.Daniの教師としての生活が始まろうとしていた.

コメント

Kevinが去り,Joshが加わって最初のStory Arcが終了.Joshはけっこう悲惨なことになりましたが,ミュータント差別主義者のミュータントという性格がどれだけ展開に影響するか,というのは面白い伏線なはず・・・でした.結局,この性格はほとんど活かされることなく終わっているんですよね.もちろん,今のところの話です.